2005年04月28日
IT投資の評価
経営にITを活用すべき!といわれて久しいですが、実際にはそのIT投資でいくら儲かりましたか?という問いに正確に答えられる人はほとんどいないのが実情ではないでしょうか。
少し前までは「IT投資はしないよりしたほうが良い」「他所もやっているからうちも」というような導入のされ方をしていました。その後は、たとえば中小企業であれば「親会社がやらないと取引しないといってくるから」という理由で導入をされてきたことと思われます。
しかしながら、ERPパッケージやEDIなど投資規模が今までにない額に増大しており、また、一方でITバブルの崩壊などもあり、このままIT投資を続けていいものか、疑問に感じている経営者が多いと思われます。
そこで、「IT投資評価」に期待が高まりますが。。。
昨日、こうした分野の第一人者の方からの講義&討議に参加いたしました。
結論からいって、IT投資評価は重要だが投資に対する効果が、たとえるなら「1cmと1g」を比較するように単位や基準が異なっており、比較できないことが多い。。。
あらゆる議論の中から、現在主流の考え方をあげるとすれば・・・
IT投資の経済性評価の限界を認識
↓
客観的な因果関係をないものとする
↓
利害関係者間で合意を形成する
↓
次の投資に繋がるPDCAを回す
つまり、これからはIT投資を経済性評価からみるのではなく、IT投資マネジメントとして管理していきましょうということでした。
※出典:大阪市立大学大学院創造都市研究科ワークアウトレジュメ
<武蔵大学 松島桂樹 教授 資料>武蔵大学:松島教授ポータルサイト
私の理解度が若干低いのかも知れませんが。。。
そもそもこのツールは大企業向けで中小企業にはなかなか応用しにくいものだと感じました。しかしながら、IT投資の効果は測りにくいと言い切ってしまい、そこからBSC(バランススコアカード)やKPI(重要業績指標)を活用し、利害関係者との合意形成から企業の経営目標に見合った「指標」を投資前に調整し、投資後にきちんと評価するということであれば、なんとなく得心が行きます。
でも、もっともっと奥深いような気がします。。。
書籍も出ているようなので、一度じっくり読んでみたいと思いました。
『戦略的IT投資マネジメント 情報システム投資の経済性評価』白桃書房 (ISBN:4-561-23321-0)
著者:松島桂樹
2005年04月27日
応用情報経済学とは?
先日の講義(特に私が心酔している助教授)で、今私たちは一体何を学んでいるのか?についての示唆があり、「あー、そうなんだ!」と腹に入ったのでちょっとスッキリしました。
~古典派の経済学~
・情報の完全性(確実性)をベースにした完全合理性に基づいており、
合理的でないものは最適性を実現しようとしないとされている学問
~情報経済学~
・情報の不完全(不確実性)をベースにした限定合理性に基づいており、
限られた情報の中でのよりよい解を実現する学問
というある意味対立する学問を理解したうえで、この「情報経済学」に「経営学」「情報システム学」を融合させたものが「応用情報経済学」である。ということです。
【講義ノートより抜粋】<3つのフレームの融合>
※大阪市立大学大学院創造都市研究科:近 勝彦助教授
そうしたことを理解しながら、情報の非対称性を解決する課題策(「シグナリング」「スクリーニング」)を学ぶと、いままでの「?」から、「なるほど感」がアップしました。
そう、システムソリューション研究分野で学ぶべき研究課題は、おそらくこの隣接するフレームの重なり部分である下記の4つの理論
1:不確実性の経済論といった分野にITを絡ませて研究することが中心となり、それを理解するために「経営論」「情報経済論」「情報システム論」を学んでいるのだな。。。とここで気がつきました。
2:情報投資論
3:IT投資論
4:応用情報経済論
ちょっと気がつくのが遅い?
さて、修士論文のテーマですが、夏までには概ねのテーマを決めたいところですが、今回この研究分野をあらためて認識したので、ちょっと視点をかえながら、現在の学問としての傾向や今後のビジネスに役立つ領域を模索したいと思います。
本屋さんで探しても「情報経済学」の書籍類は数が少なく、(スティグリッツやクルーグマンの本を読もうかどうか検討中)しかしながら、これは逆説的に考えると「チャンス!?」かもしれないので、せっかくだからちゃんと取り組んでみようと思う今日この頃です。。。